センサーサイズはでかければ偉いのか

 センサーサイズが大きいほど偉い! という人がけっこういますよね。だからといってすべての局面でフルサイズが良いのかというと……っていうのが今日のお題。


前提として

たしかにフルサイズに限らず、センサーサイズが大きいカメラはあれこれ有利です。

  • 暗いところで有利(高感度耐性)
  • ダイナミックレンジが広い
  • 色味が自然
  • グラデーションがきれい
  • なんかリッチ
  • ボケの表現がやりやすい
  • ボディーがでかいのでレンズもでかいのを作れる
  • たいがいファインダーも大きいので見やすい

 っていうところですね。撮っている本人からすると、センサー面積がちょっと変わるだけで驚くほど違います。

 翻ってAPS-Cにかぎらず、フルサイズよりも小さなセンサーが載ったカメラの利点を思いつく限り並べてみましょう。

  • 小さい
  • 軽い
  • 安い
  • 本体が小さいからレンズも軽くて小さくて安い
  • 望遠に関してはちょっと得した気分になれる

 ぱっと思いつくところを挙げるとこんな感じかな。解像度(分解能の方)についてはセンサーサイズよりもセンサーピッチの問題になってくるのでここではパスします。


α6000買った

 最近、赤外線改造に出そうと思って素体となるα6000を買ってみて驚いたんすよ。
 これ一昔前のフルサイズよりも良くない? っていうほどストレートにきれいな写りをするし、RAWデータが非常に扱いやすいんです。

 本体がプラスチッキーで、ネットに上がっている作例がいかにも「ソニーのカメラでJPG撮りしました!」っていう冷たい作例ばかりだったので、RAWもそういうもんかと思っていたんですが、試しに撮ってLightroomで開いたら全然違って驚きました。

 APS-Cなりマイクロフォーサーズの不利な点って、ここにもあると思うんです。イメージがよろしくない。

 初心者~中級者くらいの、画質についてそうギリギリ詰める撮り方をしていない方がネットにたくさん作例を上げるので、そのカメラの本来持っているポテンシャルが見られない可能性があるんですね。言い換えるとダイナミックレンジを使い切っていない撮り方です。もちろん初心者だったら出来なくて当たり前! そこを責めているんじゃありません。

 現実として、APS-C機つったら初心者向けみたいなイメージが着いちゃいますよね。もちろんメーカーがそういう売り方をしているから当たり前なんですが、逆にいえば、だからそのカメラの本当の性能(画質)っていうのが分かりづらくなっているんです。

 ところが自分でα6000を買ってRAW現像してみたら、全然イケるやんけ! と思ったんすよ。なので、このブログではフルサイズ機とAPS-C機それぞれの利点を、よく見る『ボケる』とか『望遠に有利』とかそういう点以外からもうちょっと述べてみたいなと思っています。


主観のフルサイズと客観のAPS-C

 APS-C機、たしかに絶対的な画質ではフルサイズなり中判デジタルの方が良いです。画質の面においてはセンサーなりフィルムサイズが大きいのは正義です。それは間違いありません。

 でもAPS-C機って、コンデジよりもセンサーサイズが大きいですよね。ビデオカメラの世界ではAPS-C機って超大判クラスの扱いです。昔の映画はこのサイズのフィルムで撮ってましたからね。ビデオカメラを使い慣れている人たちには「ボケすぎちゃって困るっ」て騒がれたもんですよ。

 なにが言いたいかというと、つまりフルサイズに対してボケ量が少ないだとか、フルサイズに対して高感度耐性が低いとかっていうことはあるんですが、それもだいたいフルサイズに対して1段分くらいのことですよね。撮る側としては「されど」1段ですが、実は見る側からすると「たかが」1段でしかありません。

HM: Ryota Ikawa
 APS-Cのスチル用カメラはメーカー側からするとフルサイズと明確に差別化するので、はい初心者~中級の方に向けてますよ、ていう形であれこれ部材を安く抑えます。

 ただ、これって機能の部分を除いたセンサーだけの比較であれば、先に述べたようにフルサイズとAPS-C機の間にあるのはたかだか1段分です。

 『絵の良さ』みたいな数値化が難しい部分については、もちろん定量的に示す事ができないので難しいのですが、出来の良いAPS-Cセンサーは下手なフルサイズに肉薄するほど、RAW画像の段階で印象の良い写真を撮ることができます。

カメラにとってシビアな条件

 カメラ機材について他人と話すと面倒なのが、その人の環境に依存する話しか基本的に出来ないというところですよね。価格コムあたりでも全く噛み合わない議論をよく目にします。

 鳥を撮る人はグラデーションがきれいに出るかどうかよりも、AF性能を気にするでしょう。電池の持ちやグリップ形状、防塵防滴か? というところも気になりますよね。

 ただそれってセンサー性能ではなく、パッケージングされたカメラとしての機能、つまり利便性の話になってきちゃうと思うんですよ。それはそれで大事な部分なんですが、今日はセンサーサイズに由来する画質の違い(及び付随する長所短所)の話なので於いておきます。

 センサーにとってシビアな環境、つまりセンサーがより性能を求められるところって、一番簡単に思いつくのは暗いところですよね。高感度耐性。これはセンサーサイズが大きい方が有利ですし、画素数が少ないほうが一応有利です。最近はそうとも限らないですけどね。これは数値化が簡単だし、誰が見ても同じ感度で撮ってみれば一発で判定可能です。

 でも私がこの記事で重視するのはそこではないんです。

  • 偏りなくリニアなグラデーションが得られるか?
  • 変に強調したような解像のしかたをしないか?
  • ダイナミックレンジはどの程度あるか?
  • 色の乗り方は、薄い濃いはあっても極端な偏りを見せないか?
  • S/N比はどうか?

 この辺りなんです。

 また、カメラのセンサー性能の優劣がバレやすいのが、これはレンズ性能の優劣でも大体一緒なんですが、

  • コントラストが高い被写体
  • グラデーション勝負の被写体
  • 光源がショボい時
この辺りですわ。いま思いつきで書いているので漏れはあるかもしれませんが、バリバリ撮っている方は大体この当たりに行き着く筈。

グラデーション勝負の被写体。

トータルして考えると

 これらの条件を勘案して、なおかつカメラとしての利便性もプラスして見てみると、実はAPS-C機って
  • 明るいところで
  • 解像度的にもグラデーション的にも繊細すぎない被写体を
  • レンズをちゃんと選んで撮れば
 良い感じに撮れちゃうんですよ。私の表現だと「バレにくい」っていうことです。

 人物をロケで、しかも太陽が傾いてきた時間帯なんかに撮ると非常にバレやすいです。
 元のデータがアレな場合、RAW現像ではぎとぎと方向に持って行くしかなくなるので、純で美しい状態にはしにくいんですよね。そういう撮影環境がシビアな時はセンサーもレンズも高性能なものほどなんとかなってくれます。

 じゃあAPS-Cセンサーでどう戦えば良いか? 簡単です。上記の悪条件を可能な限り避ければ良いんです。

 逆に、太陽がカッと照っているような日に繊細さのあまりない都市景観みたいなものを撮るような時は、APS-C機でも上手いことやれば全然バレません。

 むしろセンサーサイズが小さいとダイナミックレンジが狭いですから、コントラストを激しく高めたシャドー潰す、ハイライト飛ばす系のモノクロ写真には向いていたりします。

まとめ

 まあ例の如くといいますか、大方の予想どおり「要は使いどころってことじゃん」で話が終わってしまうのでありますが、事実そう

 「たかが」「されど」の1段分の違いをカバーするのが写真の技術! 認識して、分析して、コントロールして撮れば意外となんとかなるよ! っていう感じです。

 私の場合、繊細なポートレートを撮ったりするような際や、写真一発でクライアントやエンドユーザーを説得しなきゃけない美麗さが求められる場合はよりセンサーサイズの大きなカメラにより大きなレンズ、って考えますが、スナップ領域みたいに美麗さよりも面白さが求められるところ、さらに機材が軽ければ軽いほど、小さければ小さいほど可能性が広がるような場では、別にAPS-C機のα6000で十分だわなーなんて思ってしまいました。

 これ風景写真の場合はけっこう繊細な被写体である事が多いので、ざっくり一言で答えなきゃならない時は「人物と風景はシビアだからセンサーとレンズが大きい方が有利だよ」と答える事にしています。

 というわけで、皆さん当たり前なんですが自分の用途に合ったカメラとレンズを使えばよろしいんです。
 これもいつも言っていることがですが、どうせ1台目のカメラはそのうち不満が出るに決まっているんですから、最初の一台は特に気に入ったやつをスパッと買うのが良いんですよ。

 あとは求める画質と利便性を天秤にかけて決めていけば良いですよ。

さいごに


 今日の写真、フルサイズとAPS-C機を混ぜてアップしていると思われたかもしれませんが、全部APS-C機です。グラデーション重視の写真も、コントラストを細かく調整してやればAPS-Cセンサーでもけっこう繊細に見えるもんですよ。

これも。

これもAPS-C。

これもAPS-Cです。


 というわけで、また!