説明する力

 Youtube始めとしてあれこれ説明する人生を送っています。写真を撮るのと並べて、こっちも天職だなぁと思うんですよ。なにの訓練も受けたことがなく、勝手に身に付いた能力です。

 説明力って写真にとってすごく大事なんです。


  • 何かがそこにある。
  • どんな物
  • どんな状態
  • どんな場所に
  • どんな場所との関係性で
 という風に説明を積み重ねる事によって写真は出来上がってると表現しても良いでしょう。
 つまり、写真って情報の塊なんですよね。情報が整理されていればいるほど説明的であります。

破天航路
オフィシャルでライブ写真を撮ると説明力が試されます。
情報が多く、なおかつ整理されていて、さらにカッコよければベスト。


 ただ、説明的であればあるほど、情緒といいますかオシャンティさからは縁遠くなっていくんです。
 なので、写真をオシャンティに扱いたいい向きからすると、説明を極力省いて、「ああ、~なんだな」と一発で分かってもらえないようにすればするほどミステリアスでチラリズムな感じになって写真の価値があがると。そういう教え方をしたりもします。

 ボケの話も、あれは撮る側からすると被写界深度のあれこれ、ボケのあれこれですけど、見る側からすると情報量の増減に他ならないわけですよ。背景情報がスパッと整理されるから被写体に目が行く。機序が大事。立場が大事なんです。

 その辺り、意識的に教えてもらって、意識的に受け取れていれば良いんですが、私の目から見ると「こういう角度で撮るとなんか良い感じなので」っていうように小手先のテクで終わっている場合が大変多いですね。なぜそうなるのか? がない。情緒の問題で終わりにしてしまっている人がほとんど。大きく見れば楽しめれば良いんですが、講師が楽してるだけじゃねーのという気もします。

同じく破天航路『よさこい』
情報量を減らしたミステリアスな写真。

 私の考え方としては、たしかに隠すとミステリアスなんですよね。

 ほらよく見るでしょ、伏し目女子ポトレ。あれ隠すと説明力が下がるから、写っている女の子本人は本人の素材感の説明度が下がって嬉しいわけですよ。誰しも白日のもとに晒されたいわけではありません。説明されればされるほど神秘性は下がって行きます。

 見せないことによって秘密度を高めて、それで特別感を出そうとするのも戦略的にはアリ。心象系はそれだけでも成立しますし、むしろ見せないのに作品が成立するとすればそれはそれで一つの才能なのでアリなんですよ。
 ただ、以前も指摘したようにモデルさんが自己紹介の写真のはずなのに伏し目だと、説明力が足りなくて困る、というか商売につながんないわけですよ。

破天航路もぐちゃん。
もぐちゃんは常に神秘的に見えるように写真パワーであれこれやっています。
どう見せるかは撮る側、写真をセレクトする側の手の内にあるんですわ


 商業写真を撮っていると、単純に説明する能力が高くないと食っていけません。

 クライアントが持ってきた商品がどういう商品なのか? どういう機能を持っているのか? 広告であれば、それがどういう形状でどういう素材感で、もっといえばどれくらい重そうなものなのか? そのあたりまではとにかく説明。説明のためにライティングがあり、構図があり、被写界深度だなんだの設定が導き出されるんです。あと画角もね。

 おっさん脳の場合は、説明をするところからスタートして写真をやっていくので、私がよくおっさん写真道で言う「図鑑写真」になりがちです。
 でもあれって上手く行けば説明写真の極致でしょ。説明しきってしまっていてミステリーがゼロだから図鑑写真なんです。図鑑でミステリーがあってはいけません。

 その見せる部分と見せない部分のバランスの取り方、および単純なパラメーターではないので人によって見せる見せないの見せ方、見せない方(という言葉はないですが)が捻れている事によって写真って面白いわけですよ。

破天航路の小松さん
小松さんを見せるのか? 見せないのか? それが問題

 だからおっさんはとりあえず説明をし切る! 写真一発で被写体が分かる! 撮る時に自分で「こっからここまでこういう風に説明する」を目標にして撮る訓練をして、そっから後発で良いので「見せない」訓練をスタートしていくと良いんじゃないのかなぁ、なんていう風に思うんでありました。

 商業カメラマンであれば、まずはとにかく説明能力が高いことが大事ですからね。
 また現代のカメラマンは、クライアントと直接取り引きをする機会も多いので、やっぱりいわゆるコミュ力ってやつが大事ですよね。それも実は説明力なんですよ。

 説明力っていうのは、相手なり被写体なりが、何であるのか読み取って、それを自分に分かるように、他人に分かるように言語化する能力です。だから、それが読み取れない人っていうのは説明できるわけがないんですよ。

 その辺り、社会人全般に通じるものでありますが、やっぱり説明力って大事だよね、というのと、私の場合写真でも言葉でも延々と説明するのが苦にならない人間なので、あれこれ得させてもらっているんだろうなと思う次第であります。

 他の人に説明できない(要は分からない、分かりづらいと思われている)概念について自分の言葉で説明して喜んでもらえるのって、結構楽しいんですよね。Youtubeで面白いのはそれだなぁ。しかもちょっと社会の役に立てている気がして嬉しいんです。